無垢な情熱

恋人を亡くして心に深い傷を負ったクリントのために、サニーは家政婦として彼の家で働くことにした。
表向きは身のまわりの世話をしながらも、新しい恋人を見つけてあげるのが真の目的だ。
だが、もう誰も愛せないと思い込んでいる彼をその気にさせるような相手を探すのは困難だった。
さらに困ったことに、クリントの高潔で誠実な人柄に触れるうち、いつしかサニーの中には恋心が芽生えていた。
恋などしたことのない私が彼の心をつかめるわけがない。
募る想いを抑え、サニーは彼に似合う女性を探し続けるが……。
放蕩者でならすアイボ・トレンチャードが最も恐れているもの、それは社交界デビューしたばかりの若い娘たちだ。
子爵か公爵、はたまたただの金持ち男を捕まえようと躍起になり、爵位や財産だけが取り柄の男と一生をともにするなんて、アイボには到底理解できない。
とはいえ、そんな彼と全く同じ考えの人物も存在した。
叔母の名付け子で、最近まで男の子として育てられたジョシーだ。
そのジョシーが幼なじみとの婚約発表を目前に控え、神妙な面持ちでアイボに相談を持ちかけてきた。
「実は、キスされたときのふるまい方を教えてもらえないかと思って」アイボは度肝を抜かれ、しばし絶句した。
テイラーは誰もがはっと振り返るほどの美人だ。
しかし、彼女の心は冷めきっていた。
人はみな真実の愛をほめそやすけれど、そんなものは存在しない。
私が男性に求めるのは一夜かぎりのかりそめの愛……。
マックもそんな相手のはずだった。
琥珀色の澄んだ瞳が神秘的で、屈強な肉体を持つ彼は男性としての本質的な魅力に溢れ、火遊びの相手にちょうどいい。
ところがキスを交わした瞬間、テイラーは動揺した。
胸が締めつけられ、克服したはずの記憶がよみがえったのだ。
遠い昔、結婚直前に事故で失った恋人の面影が。
ウィルモント一族の宿敵だったバジルが亡くなって3年。
彼のせいであやうく命を落としかけたリチャードも、今は豊かな土地の慈悲深き領主として、平穏な日々を送っていた。
あるとき宮廷へ向かう途中、偶然出会った女性を危機から救う。
隠しきれない高貴な物腰、知性を秘めたすみれ色の瞳。
農民に身をやつしてはいるが、ノルマン貴族に違いない。
彼女の謎めいた美しさに、リチャードは強く惹かれる。
だが、やがて宮廷で明かされた真実は、彼に絶望をもたらした。
その女性ルシンダこそ、憎むべきバジルの未亡人だったとは!父の遺言の内容を聞き、令嬢ジェシカは即座に遺産を放棄した。
好きでもない男性との結婚が、相続の条件だったからだ。
ジェシカはすべてを捨てて逃げだしたが、駅で行く手を阻まれた。
汽車は、乗車予定の女教師が乗り込むまで出発しないという。
追っ手を振り切るため、とっさに女教師になりすましたものの、女教師の目的地シャイアンに到着したとき、ある問題が起こった。
若く美しいジェシカをめぐり、荒くれ男たちが喧嘩を始めたのだ。
だが、いともたやすく彼らをおとなしくさせた男がいた。
彼女を――いや、女教師を雇った鉱山主、ロス・マケインだった。
続きはこちらから⇒ttp://www.ebookjapan.jp/shop/book.asp?sku=60022643