同棲時代(1)

売れないイラストレーターの次郎と、小さな広告会社に勤める今日子は、デザイン学校の同級生。
初めてデートをした夜から3日後、同じ屋根の下で暮らし始めた。
毎日をのほほんと暮らす二人は、仕事も家庭も性も曖昧にしていられるのは同棲しかないと思っている。
次郎23歳、今日子21歳――。
このままでいいのだろうか…。
今日は一緒に暮らし始めてから一年目、いわば同棲記念日。
しかし次郎は雑誌の編集長に誘われて、夜の銀座にいた。
初めての銀座になじめず、悪酔いしてしまう次郎。
そして部屋で一人、帰らぬ次郎を待つ今日子。
もう、気がつけば二人の春はおわっていたのだろうか。
憧れの出版社に転職した今日子。
次郎も大物作家のエッセイの挿絵を任されることになった。
二人はフランス料理のレストランで祝杯を挙げる。
もっとよく知りたいと思って暮らし始めたのに、気がつけばだんだんわからないことのほうが多くなっていった二人。
「愛している」「愛されている」の実感が二人を静かに包み込む…。
今日子が次郎の子どもを妊娠した――。
とうとう来てしまったその日。
どうしていいかわからず戸惑う次郎は、病院の帰り、今日子とはぐれてしまう。
一人、橋のたもとで今日子を待ち続ける次郎。
その頃今日子は、とほうもなく重い心を抱いて、たったひとりで街をさまよっていた。
次郎に内緒で子どもを堕胎した今日子。
心がぼろぼろになった今日子は自殺未遂を図り、そのショックで精神に異常をきたしてしまった。
次郎と今日子を包み込む絶望。
愛をすべての理由として生きてきた結果、二人はいまその愛によって罰せられようとしていた――。
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